貝殻に設けられた
たったひとつの出口から外を眺める
あれがないか確認するために
霞がかった白い世界
その滲んだ輪郭の隙間いっぱいに
私をみつめる夥しい数の眼光がひしめく
その眼光の怖ろしさ故に
私はこの貝殻から出られない
私は視線で揺れ動く貝殻の鍵を閉めた
貝殻の中は暖かく
陽光を受けて虹色に満たされている
またここに帰って来られた安堵から微笑みがこぼれた
そして螺旋を描く回廊の突き当たりで
膝を抱えたまま血が吹き出すまで爪を噛んだ
膝を抱えたまま血が吹き出すまで爪を噛んだ