2014年12月5日金曜日

ハム

ハムがうまい。もう1枚つまみたい。もう1枚つまみたいところだけれど、この「もう1枚」という欲求に僕が従うということは、消費されないはずだったこの列島における1枚分のハムを消費するということで、それはハムを2015年売れる商品へ押し上げることに、ごくごく僅かながら加担しているということで、需要に応えようとしたハム業者が例えば牧場の1区画に8頭入れるところを9頭詰め込む体制に変更したりする訳で、牧場の豚は悲しいことに生まれた時から屠殺場に送られるために人生もとい豚生を歩んでいるのだけれど、生活スペースを1頭分奪われて85のストレスで済むところを105のストレスを抱えながら、宙吊りにされて首から床へどばどば溢れる自分の血を眺めているのかなぁとか、僕の食べたもう1枚が、1頭分の肉からちょうど1枚分足りなかった部分、つまり1枚目のハムが甲という豚の肉で、余剰に食べたもう1枚が乙という豚の肉だった場合、しぶきをあげてじゃばじゃば吹き出す豚の鮮血をもう1頭分眺めることを、僕は顔も名前も知らないどこかの誰かに無意識に命じていることになるのかなぁとか、色々頭をかすめてしまって、僕がハムを1枚食べることで起こりうる因果を順番にイコールで繋いでいくと、ハムがうまい イコール ハムが悲しいということになるのだけれど、なんだかんだ言ってもおいしいので結局ハムをもう2枚食べてしまう。

▲ おいしいハム