2014年3月25日火曜日

相撲初観戦(平成26年春場所・中日)

 生とテレビの一番の差は音にあった。肉と肉がぶつかる音。荘厳で暖かい行司の声。力士がケツを叩く音。一進一退の攻防を見守る観客のどよめき。それらが振動となって館内に飛び散り、身体に響く。ドーパミンが分泌されるのがわかる。

 春場所・中日(8日目)の大阪府立体育館は日曜日ということもあって満員御礼。初めて集中して幕内全取り組みを見たことによるかもしれないが、この日は良い試合が多かったように思う。体重120kgの里山が200kgの臥牙丸を投げ飛ばし、未来の結びの一番とも言える遠藤vs大砂嵐では、土俵際に追いつめられた遠藤の大逆転勝利に、空間が裂けるような大歓声が起こった。

▲満員御礼の垂れ幕が下がる大阪府立体育館

 春場所は力士と観客の距離が格段に近い。席を探してうろついていると出番前の力士がアップしていたり、売店に並んでいる際に戦いを終えた力士がすぐそばを引き上げていったりする。間近で見た力士の身体は気力に満ちていて、戦うためのボディだと思った。中でも横綱・白鵬の土俵入りは圧巻で、はち切れる程のパワーが太ももから腰にかけてみなぎっているのが遠目からでもわかった。この世界に最強の男として君臨していることに納得し、あんな奴には絶対に勝てないと思った。かっこ良かった。横綱になりたいと思った。

▲通路で出番を待つ力士と通りすがりのおばちゃん

 大阪場所ということで、関西出身のご当地力士へは熱い声援が送られる。豪栄道や勢ら大阪出身力士が出てくると口々に名を叫んだり、声を揃えて「ゴウ・エイ・ドウ! ゴウ・エイ・ドウ!」「イキオイ!チャチャチャ! イキオイ!チャチャチャ!(手拍子)」というような、現代において最もシンプルで原始的な応援が行われていた。

 また、2階席の一角には高齢者およそ5、60人が陣取っていた。幕下の北磻磨という、兵庫県出身力士の大応援団だ。おそらくマイクロバスをチャーターして駆けつけたのだろう。呼び出しが終わると、姿勢を正した背広姿の応援団長が通路に現れ「フレ~!フレ~!キタハリマッ!」と先陣を切る。横断幕を掲げ頭にハチマキを巻いた団員は、そのあとに続いて声を張り上げる。あんな魂を削るようなじじばばの絶叫は、日常生活ではなかなか聞けない。応援の甲斐あってか、結果は北磻磨の勝利。2階席は歓喜に包まれ、場内からは暖かい拍手がこぼれた。同じ地方に住んでいたというだけで精一杯エールを送る応援団の姿には、地域性が失われつつある昨今にはない温もりがあった。

▲勝利に沸く北磻磨の応援団

 相撲を見にいく上でネックになるのはチケット代だろう。高額なうえに、前列を占める枡席は4席単位でしか購入できない。相撲のために10,000円払う人を3人探すのは厳しい。ペアの枡席も用意されているが、人気のためにすぐに売り切れてしまう。私はこの日、1席単位で販売されている2階席で観戦した。土俵から遠いのではないか。素人でも大丈夫か。枡席でないと、それ以前に両国国技館でないと本来の雰囲気は味わえないのではないか。当初のそんな不安は、場内の空気を吸った瞬間すべて消し飛んだ。相撲は楽しい。少しでも興味がある人は、ぜひ一度会場に足を運んでほしい。特に、日本酒 × あたりめ × 相撲。この取り合わせは最高だ。

▲幕内力士の土俵入り

2014年3月3日月曜日

日清のUFOについて

極限の空腹時にUFOを思いっきりすすった時の感覚は、
うまいとかおいしいとか、そんな生ぬるいもんじゃない。

弾力のある麺を噛み切る振動が歯を伝い、
ごちソースの芳醇な香りが湯気とともに鼻の穴を駆け巡る。

味覚を突き抜けた快楽。
もし僕に満腹中枢というリミッターがついていなければ、
肥大した自分の肉で窒息するまでUFOをすすり続けると思う。

UFOは、気持ちいい。
こんなことを月曜日の早朝に書いてる奴は、気持ち悪い。